小さなエッセイ

日々の暮らしの中に想うことをあれこれと書いています

2005年07月19日

ひとだま

食事を摂りながら、ぼんやりと「写るんです」のテレビCMを見ていた。
CMの最後に、
ひとだま(墓地なんかで揺ら揺らゆれるあの・・)を写るんですで撮る場面があった。

画面に、いくつかのあの大きなオタマジャクシみたいなひとだまが飛ぶ。
そういえば、ひとだまの話題って出ないなあ~と思って、
そのシーンを見つめていた。

私が子どもの頃、家の近くにお寺があった。
境内は自由に入れて、ボール遊びをしたり、石蹴りをしたり。
大きな銀杏の木が(確か・・・?)真ん中にあって、
釣瓶のついた深い井戸もあったっけ。

そのお寺に、「夜、ひとりで行くと、ひとだまが出る。
そのひとだまは、後を何処までも付いて来るから、ぜったいに振り返っちゃダメ」
という、まことしやかな噂があって、
私たち近所の子どもは、本気で信じていた。

いえ、もしかしたら、ひとだまは本当に出たのかもしれなかった。

夕日が沈みかけると、それまで遊んでいた子ども達は、背中が落ち着かない。
朽ちかけたような卒塔婆が、苔むす墓石によりかかって、不気味な影を落とす。
そして私たちは、「かえるが泣くからか~えろ~」と歌いながら、
足早に、お寺を後にして、家に帰るのだった。

今の子ども達、そんなちょっと怖ろしいような、
でも、楽しい共同体験を持つことは無いのだろうなあ。
なんだかちょっとかわいそう。

投稿者 sako : 22:05 Write:22:05