小さなエッセイ

日々の暮らしの中に想うことをあれこれと書いています

2008年07月21日

ミシン

カタカタと、足踏みミシンを踏んでいた母の後姿。
まだ、幼かった頃、飽きもせずに見ていたことを思い出す。
ミシンは、いつも、ずっしりと黒光りしていた。

母は、足を前後に動かしながら、
右手は胴体の右端にある丸いハンドルを動かして、
タイミングよく針を上下させて、
左手は布に添えて、スイスイと縫うのです。

もちろん、私だって使いました。
小学校の家庭科も、中学に入ってからの家庭科(これは女子だけ)も、
そんな足踏みミシンで色々な課題を作りました。

家では、人形の洋服を作って、着せ替えて遊んでた。
今のように買えばなんでもある時代じゃなかったから、
母から残り布をもらって、上着やスカートを作る。
ミシンで縫ったら、
それにボタンやホックをつけたり、ゴムを入れたり。

工夫して作った洋服は、きっと不恰好だったと思うけれど、
小さな私から見れば、それはどれも、
お洒落なよそゆきのドレスなのだった。

そういえば、うちの二人の娘たちは、
そんなことしなかったなあ。

小さな指先から、小さなドレスを作り出す楽しみ、
教えてあげられなかったのは、
きっと、私の責任かも。

世の中の流れがどんどんと速くなり、
なんでも簡単に手に入る。
それは、大切な時間や大切な心までも、
置き去りにしているのかもしれない。

ミシンを踏む母の背中を思い出しながら、
ちょっとだけ、切ない思いに浸っていました。

投稿者 sako : 21:21 Write:21:21